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「クネクネさんのいちにち きょうはマラカスのひ」(樋勝朋巳文・絵、福音館書店)
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 人気絵本「クネクネさん」シリーズの主人公、クネクネさんは不器用で泣き虫で、いつも一生懸命です。友人たちとマラカスの発表会をしたり、編みもの教室でマフラーを編んだり。日々の幸せを大切にしながら暮らすクネクネさんに、作者の樋勝朋巳さんはある思いを託しているそうです。ご本人にインタビューしました。

描いてきたのは、そばにいてほしい存在

 銅版画家として活動を始めたころから、私の作品のなかにはクネクネさんの原型がいました。動物のような人のような生き物の姿です。

 「絵本を作ってみませんか」と福音館書店の編集者に声をかけてもらい、ずっと絵のモチーフになっていた小さな生き物たちに動いてもらうことにしました。

 シリーズになるなんて、まったくの予想外でした。1作目「クネクネさんのいちにち きょうはマラカスのひ」は、私の絵本デビュー作です。担当編集者と出会ってから7年かけて出版にたどりついたこの作品がゴールだと思っていました。10年以上経ったいまもシリーズが続いているのは夢のようです。

 不器用で泣き虫で優しいクネクネさんや、友人のパーマさん、フワフワさん。描いてきたのは、私がそばにいてほしい存在です。動物なのか人なのか、性別は何なのか。私のなかでは決めていません。ただかわいくていとおしい。そこにいてくれるだけでうれしい存在。

「クネクネさんのいちにち きょうはマラカスのひ」

福音館書店、2013年。クネクネさんはマラカスが大好き。友人のパーマさん、フワフワさんを驚かせたくて、発表会のために難しい技を練習します。ステージに上がり、元気よくマラカスを振り始めましたが……。本作を含むクネクネさんシリーズの発行部数は5作累計で10万2500部。

 絵本の読者となってくれる子供たちのことはいつも考えているのですが、子供のためというよりも、私自身のための存在をずっと描いています。子供たちがそれを見たり読んだりしたときに何か安心が伝わればいい。

 1年半ほど前に閉じましたが…

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